機楽〜はたらく #1  < 前編 >

機楽〜はたらく #1  < 前編 >

機楽〜はたらく

編み機とハタラク職人のモノ語り はじまります。

連載企画 第一回目、

奈良県・広陵町にある靴下工場「ヤマヤ株式会社」

代表取締役社長 野村佳照 、取締役専務 野村泰嵩 親子にインタビュー < 前編 >


今回は、現在の社屋から徒歩数分の距離にある、社長自邸敷地内の旧工場を訪問しました。




ーヤマヤは昨年100周年を迎えました。その歴史の中で代々受け継がれてきていることはありますか?

社長 祖母より「代々、我が事よりひと様のことを大切に思う家筋」という話を聞かされてきました。昭和58年、個人経営から法人に改組する際、先祖のその精神を引き継ぐ意味で、江戸時代文政期に木綿業を創業した「疋相村弥兵衛」以来の屋号であった「山や」の名称を用い、山屋株式会社としました。平成4年、CIcorporate identity)導入を機に、社名をヤマヤ株式会社に改称しました。

 

ー家業について子どものころ、どう感じていましたか?

専務 脇役的な立ち位置ではありながら、さりげなく個性も表現できる靴下というアイテムに、とても魅力を感じていました。幼い頃から服や鞄などのファッションにずっと興味はあったので、その一部である靴下の生産に家業を継ぐ形で携わることは、すごく自然にイメージできました。今思うと、大学や就職先などの進路の選択の際には、将来的な靴下工場での勤務を視野に入れて、無意識の内に少しでも役立つような道を選んできたと思います。

 

 

ー旧工場には 「安定した高品質」の文字が掲げられていますが、そのために配慮や工夫されていることは?

 社長 品質をとは何かと問うと、人によりまちまちの答えが返ってくると思いますが、一般的には、キズやヨゴレがなく、生地の調整がとれていて、丈や横伸びに支障がなく、外見も整っている靴下、と言えます。ところが、そのような品物ができあがっても、それと同じものを本生産で再現しなければ意味がありません。同じように作ればいいだけのこと、と思われるでしょうが、それが難しいのです。気温や湿度により糸の状態が変化します。コーンに巻かれた糸の形状も変化します。糸の通り道に綿ぼこりが溜まります。常に、編み上がりの生地をチェックする必要があるのです。いい品物を確かな品質で安定して作る、という意味で、「安定した高品質」という言葉を標語として、旧工場に掲げました。その考えは、ヤマヤのものづくり基本的な考えとして今も変わりありません。

 

ーこの旧工場での思い出などがあれば教えて下さい。

専務 よく兄弟で卓球をしたことを覚えています。また広い空間があるのに、全く生かされていない現状について、よく何かできないかと考えを巡らせたことも記憶しています。ここをリノベーションして住まいにすることも考えましたが、結果的にはなるべく多くの方が訪れることができる空間にしたいと考え、店舗・ギャラリーとしての展開を決めました。

 

あとがき

野村親子はインタビューでもあったように家業であるものづくりや考え方を共にし、これまで歩んで参りました。

このように改めて話を聞く機会が少ない中、この連載はわたしたち従業員にもヤマヤについて学ぶきっかけとなり、

多くの方に知っていただけることを嬉しく思っています。

旧工場の新展開については、また別途お知らせしますね。

暑い中、長年の蓄積された編み機の埃を社長自らが懸命に拭っている様子にもご注目ください。

次回、後編では更に深くたずねていきます。

みなさまへ想いがとどきますよう、心をこめて連載していきます。どうぞお楽しみに!

 

企画・構成/ 清瀬  表題/ 藤原 編集/熊谷

ブログに戻る

コメントを残す

コメントは公開前に承認される必要があることにご注意ください。